YOSHIKIとKISSの絆
YOSHIKIが大晦日の『第70回NHK紅白歌合戦』で共演を果たすKISSのメンバーとの強い絆に世間の関心が集まっている。
YOSHIKIにとってKISSは「命の恩人」。父親との予期せぬ突然の別れに絶望し生きる力を失くしていた幼少期に、偶然目にした彼らのアルバムジャケット……。これが、その後のYOSHIKIの運命を大きく変えることになった。それまでクラシック音楽しか知らなかった少年YOSHIKIは、初めてロックミュージックを聴き衝撃を受けた。
そして奇しくもKISSの来日公演があり、日本武道館のコンサートに母親と行ったYOSHIKIは、怒りや哀しみをロックや叫びで昇華する術を知ったという。負の感情を内面に溜めこむばかりで苦しさが限界を超えていた当時のYOSHIKIは、この体験に大いに救われ、「KISSに出会ってなかったら、今、生きてなかったかもしれない」とまで語っている。
KISSによってロックの扉を開かれたYOSHIKIは、成長して日本を代表するミュージシャンとなり、1994年、ジーン・シモンズの依頼を受けKISSのトリビュートアルバム『KISS MY ASS』に、自身がクラシックアレンジをした「Black Diamond」で参加。これをきっかけにメンバーとの交流が始まり、自宅に遊びに行くほどの親密な仲となった。
KISSの45年超の活動において、共演を果たしたアーティストはYOSHIKIを含め3人しか居ない。『紅白』共演発表の会見で、ジーン・シモンズは「今回、共演を快諾したのは、YOSHIKIだから。彼は、ロックミュージシャンとしてだけではなく、社会的な影響力もある人物。日本の素晴らしさも世界に広めている。X JAPANとしても、過去のつらい出来事を乗り越えて、生きることの素晴らしさについてメッセージを発信していて、我々も影響を受けている」と彼を絶賛した。
会見では、KISSのメンバーはYOSHIKIについて他にも「日本ではレジェンド的存在なのに謙虚な心を持っている。彼の仕事に対する冷静な姿勢は、すぐアツくなってしまう自分は見習わなければならない部分だ」(ジーン)。「しばらくぶりに会っても、昨日も会ったかのように気楽に話せるし、音楽についても気がねなく語らえる仲」(ポール・スタンレー)と述べ、「He is champion of life!」という最高の誉め言葉も飛び出した。
それに対してYOSHIKIは「エンターテイナーとして音楽以上の影響を与えていかなくてはならない、ということをKISSから学んだ」と言い、お互いにリスペクトし合っていた。「ファンが居なくては、自分たちは存在できない」という、ファンを第一に考える姿勢も共通しているとの事だ。
KISSのコンサートをただの観客として客席で楽しんでいた少年が、年月を経て世界的なアーティストになり、‟ただの1ファン”から対等に付き合える‟親友”に。そして彼らの最後の日本ツアーで共演するまでになったのは、運命的でドラマティックなストーリーだ。
KISSとYOSHIKIは先日の東京ドーム、京セラドーム大阪公演での共演に続き、大晦日には『紅白歌合戦』に‟YOSHIKISS”として出演。憧れのアーティストとの三たびの共演にYOSHIKIは「人生頑張って生きてたら、こんな素敵な事があるんだな。生きてて良かった!」と感激ひとしおだった。
YOSHIKは「僕はサプライズのかたまりみたいな人で、『紅白』では毎年何かをやらかしてるので、今年もかなりショッキングなステージになると思う」とも宣言している。